君と歩く未来

「行きたいところがある」 六月二十二日。セノの誕生日前日。に、日付が変わってすぐ頃。セノは訪ねてきたティナリを出迎えると同時にそう告げた。「……今から?」 ティナリは面食らったかのように、数秒置いてからそう尋ねた。空では…

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いつだって欲しい言葉をくれるのは

「ありがとう。捗ったよ」 珍しく休みを取ったセノがティナリを訪ねて来た。元から約束はなく、セノの突然の来訪にティナリはどうしようかと困惑した。なぜならちょうど研究対象のキノコを採取しに出るところだったからだ。入れ違いにな…

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 目が覚めるとまだ部屋は薄暗く、窓の外が僅かに白んでいるようだった。夜に水を溶かしたような色の空をぼんやりと眺めていると柔らかな温もりとすうすうという穏やかな呼吸音を感じて、隣でティナリが眠っていることを思い出す。昨夜は…

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「七聖召喚をやらないか、ティナリ」 出会い頭にそう誘われて、ティナリは思わず言葉を詰まらせた。 教令院の学生とは出立ちの異なる、しかし歳の頃はティナリと同じくらいの少年は、教令に違反する者を取り締まるマハマトラ、彼らを統…

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学生時代

 その日、彼を見かけたのは偶然だった。だがその姿を見てふと、ある欲が湧き上がった。 自身のそれとよく似た、だが作り物の高く立ち上がった耳。遠くから見えた様子に、なるほど、他人から見た自分もこんなふうに映るのか、と他人事の…

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「ちょうどよかった」 パルディスディアイの温室で。セノの顔を見るなり、ティナリはそう言った。「何か手伝うか?」 それも慣れたもので、セノはティナリの方へ歩み寄りながら手伝いを申し出る。こう言う時、ティナリは大抵何かしら作…

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チョコレート

 モンドから入ってきたチョコレートという菓子がある。元は薬として用いられた苦味のあるものだったそうだが、砂糖を混ぜ、次第に嗜好品として楽しまれるようになったのだとか。 コレイ宛に届いたモンドからの小包に、大量のチョコレー…

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きみにおぼれる

 セノ。 普段、コレイやの前やほかのレンジャー、共通の友人である旅人やカーヴェ、アルハイゼンの前で呼ぶ時とは違う、甘い声で呼ばれて、心臓が跳ねた。 ティナリがこういう声でセノを呼ぶのは合図だ。「こっち来てよ」 ベッドに腰…

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あげたいきもち

 背後から視線を感じる。 後ろにいるのはセノだ。恐らくセノがティナリの背を、じっと穴が空くほど見ているのだろう。「じゃあ頼んだよ」「はい、ありがとうございます!」 礼儀正しく頭を下げて、去っていくレンジャーの後ろ姿を見送…

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